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第14回愛知県医療ソーシャルワーク学会を開催するにあたって

学術集会長 挨拶 

国家公務員共済組合連合会 名城病院  小林  哲朗 

(愛知県医療ソーシャルワーカー協会  会長)

 

「MSWの臨床とアイデンティティの深化」を大会テーマに第14回愛知県医療ソーシャルワーク学会を開催します。

 多職種が連携してクライエントの支援にあたることは当然のこととなり、クライエントにとって多職種の連携による真のチームがあることは良いことと言えます。その中で医療ソーシャルワーカーの相談援助や支援が、他の専門職が行う相談援助や支援と何が違うのかといったことも問われる時代となりました。今学会では、医療ソーシャルワーカーの臨床とはどういったものか、医療ソーシャルワーカーだからできるクライエントへの支援とは何か、そのアイデンティティを深めることを目指しています。

平成30年度は診療報酬・介護報酬の同時改定を迎えました。中医協では、全ての団塊の世代が75歳以上となる「2025年に向けた筋道を示す実質的な最後の同時改定となるため、平成30年度は重要な節目」とまとめています。地域包括ケアシステムの深化に向けて、私たち医療ソーシャルワーカーも様々なことにチャレンジすることが必要な時と言っても過言ではないでしょう。「愛知県人生の最終段階における医療体制整備事業(あいちACPプロジェクト)」「名古屋市成年後見制度利用促進懇談会」への当協会の参画などもこれにあたります。身寄りのいない方などへの意思決定支援や身元保証人に関する啓発や体制整備についても、今後ますます必要となります。我々には、これまで以上に相談力向上と連携、地域での社会資源開発とネットワーク構築が求められています。医療ソーシャルワーカーが社会課題への解決に役立つか、社会貢献できるか、試されていると言えます。今学会でディスカッションを深めていただければ幸いです。

 基調講演は、中日新聞編集局編集員の安藤明夫先生から「尊厳ある生と死のために」というテーマでご講演をいただきます。記者として様々な現場に足を運び、また市民として当事者の目線で社会を見ている安藤先生だからこそ見える、私たち医療ソーシャルワーカーの役割についてご教示いただけることと思います。

 分科会では、周産期からの児童虐待予防や子育て支援、がん患者の就労支援、身元保証人問題や外国人患者への対応、意思決定支援などまさに学会テーマにふさわしい、臨床場面での医療ソーシャルワークの報告があります。ぜひ、活発な意見交換をしていただきたいと思います。

交流コーナーには企業等の出展に加えて、当事者支援団体の方々をお招きしました。お集まりいただいた皆様が、このコーナーでの交流を通して相互に学ぶ場にしていただけると考えています。

さらに、昨年の学会で課題とさせていただいた教育講演をはじめて開催するに至り、日本ソーシャルワーク学会会長で同志社大学社会学部社会福祉学会教授でもあります小山隆先生にお願いすることができました。この講演をとおして、日ごろの実践をさらに研究につなげ、学会発表ができるようになることを願っております。

 ご後援をいただいた関係機関の皆様に感謝申し上げるともに、本学会が医療ソーシャルワーカーのアイデンティティの深化に向けて実り多い学会となりますことを祈念して、開催のご挨拶とさせていただきます。

運営委員長 挨拶 

JA愛知厚生連 海南病院  末藤  和正

(愛知県医療ソーシャルワーカー協会  事務局長)

 

第14回愛知県医療ソーシャルワーク学会の開催にあたり、愛知県、名古屋市のなどの行政機関をはじめ、医師会、病院協会、看護協会、療法士会、福祉士会など多くの関係機関や関係者の皆さまにご後援いただきまして、深く感謝申し上げます。

 2018年診療報酬・介護報酬の同時改訂を終え、医療と介護、病院と在宅の連携強化が進められています。これらは、2025年問題に耐えうる地域包括ケアシステムへの強化・深化を目指しているためですが、すでに我々関係団体は協働して推進してきました。特に今年度は、各専門職団体とアドバンス・ケア・プランニングを展開しています。診療圏ごとの退院支援システムのルール化を進めています。他にも、身元保証、介護予防、認知症、地域ケア会議、地域支援などの様々なキーワードの元で、協働しています。

 しかし国は、すでに2040年の多死の時代、さらには2100年の人口半減時代への対策を見据え、ニッポン一億総活躍プランを打ち出しています。ここでは、障害者や患者の活躍支援、レセプトデータや予防サービスを活用した健康立国、地域共生社会の実現、高齢者の就労促進、働き方改革、外国人労働者の受入など、医療と介護のみならず、さらに多くの業界が協力した取り組みを求めています。

医療ソーシャルワーカーに対する期待は高まっています。その期待に応えるべく、分科会では関連キーワードを題材とした演題発表が多く予定されています。さらに、この度ご登壇いただく中日新聞社安藤明夫先生の基調講演で示唆されることをもとに、我々は医療ソーシャルワーカーが成すべきことに取組みます。ただし、我々が得意としていることがどれだけあっても、我々だけで作りあげられるものではありません。関係者の皆さまの益々のご支援をお願いいたします。

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